便秘外来
便秘外来

便秘とは、排便の回数が少ない、便が硬くて出にくい、排便時に痛みがあるなど、排便に関するトラブルが慢性的に続いている状態をいいます。小児では、成長に伴う体質や生活環境の影響が大きく、大人とは異なる視点でのケアが求められます。
小児の便秘は多く見られ、小児科を受診するお子さまの数%が便秘に関連した症状であると報告されています。「たかが便秘」と思われがちですが、便秘が原因で強い腹痛が起こることも少なくなく、放置すると腸が拡張して鈍感になり、治療に長期間を要するようになることもあります。また、慢性的な経過をたどる便秘の中には生まれつきの病気が隠れていることもあるため注意が必要です。気になる症状があれば、お早めにご相談ください。
一般に排便回数が週3回に満たない場合に便秘を疑いますが、個人差があり、食事内容や排便量、症状の有無などによっても判断は異なります。心配があれば、まずは受診してご相談いただくことをおすすめします。
便秘が慢性的に続くと、食欲の低下や腹痛、排便時の出血を起こすことがあります。腸内に便が長くとどまると水分がさらに吸収されて便が硬くなり、排便時の痛みからさらに我慢してしまうという悪循環に陥りやすくなります。また、排便への不安から精神的なストレスを抱えることもあるため、早めの対処が大切です。
排便の回数や便の硬さだけでなく、食事や生活リズム、排便時の様子、年長のお子さまではご本人の気持ちまで診察前に幅広くお聞きし、一人ひとりに合った治療方針を立てます。
便秘のお子さまにはさまざまな重症度の方がいます。生活・食事習慣の工夫で改善が見込める方もいれば、早い段階から薬を使ったほうがよい方もいます。どの程度便秘で困っているか、生活・食事習慣の改善がどのくらい現実的かなど、複数の面から評価したうえで治療方針を提案します。
便秘は夜尿症を悪化させる要因の一つです。当院では夜尿症外来も行っており、便秘と夜尿症の両方を抱えるお子さまに対して、包括的なケアを行うことが可能です。
小児の便秘の多くには体質や生活リズムが影響しています。次のような要因がよく見られます。
トイレトレーニングや入園・入学などの環境変化がきっかけとなることも少なくありません。新しい環境への緊張やストレスから排便リズムが乱れ、便秘が始まるケースも多く見られます。
なお、まれにヒルシュスプルング病など外科的な治療が必要な疾患が隠れている場合もあります。特に新生児期からの便秘や、成長の遅れを伴う場合には注意が必要ですので、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。
小児期の便秘では「うんちが出ない」という症状だけでなく、さまざまなサインが見られます。毎日排便があっても少量しか出ておらず、腸内に便が残ったままのこともあります。腹痛やお腹の張りといったよく見られる症状以外にも、食欲が低下したり、便があふれ出ておもらしのような症状(遺糞症)が出たりすることもあります。遺糞症は本人の意思とは無関係に起こるものですので、叱ったりせず、便秘の治療として対応することが大切です。
上記に当てはまる場合はご相談ください。
小児の便秘治療では、まず腸にたまった便を取り除き、その後1〜2日に1回の自然な排便リズムを身につけることを目標にします。薬物療法は、たまった便を出す「初期治療」と再びためないようにする「維持治療」の2段階で進めます。
十分な水分摂取に加え、野菜・果物・海藻・豆類・全粒穀物など食物繊維を豊富に含む食品をバランスよく取り入れます。朝食後に温かい飲み物を飲むと腸の動きが刺激され、排便リズムづくりに役立ちます。ただし、食事の改善だけで便秘が解消するとは限りませんので、他の治療と組み合わせて行います。
毎日同じ時間にトイレに座る習慣をつけ、体に排便のリズムを覚えさせます。朝食後など腸の動きが活発になるタイミングを活用しましょう。落ち着いてトイレに行ける環境を整えることも大切です。足が床につかない場合は踏み台を使い、やや前かがみの姿勢をとると排便しやすくなります。過度な声かけや叱責は逆効果になることがあるため、穏やかに見守りましょう。排便できた日はカレンダーにシールを貼るなど、お子さまが前向きに取り組める工夫も効果的です。また、日中に体を動かす習慣をつけることも腸の動きを活発にし、排便リズムの改善につながります。
便をやわらかくする浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、モビコールなど)や、腸のぜん動運動を促す刺激性下剤(ピコスルファートナトリウムなど)を使用します。近年はモビコール(ポリエチレングリコール製剤)が2歳以上の小児の便秘治療で広く使われるようになっています。
薬の種類や量は年齢・症状に応じて調整し、必要に応じて長期的に使用します。便秘の薬物療法は数か月から1年以上にわたることも珍しくありませんが、自己判断で急にやめると再発しやすいため、医師の指示に従って減量していくことが大切です。薬だけに頼らず、食事やトイレ習慣の改善と組み合わせることが望ましいでしょう。
肛門の近くに硬い便がたまっている場合、浣腸や座薬が必要となることがあります。硬い便が排出されることで新しい便が出やすくなり、排便への抵抗感もやわらぐといった効果が期待できます。「浣腸は癖になる」と心配される方もいますが、医師の指示のもとで適切に使用すれば依存の心配はありません。使用頻度や方法については医師の指示に従ってください。
便秘の治療は、クリニックでの診療だけでなく、ご家庭での取り組みがとても重要です。以下のポイントを意識していただくと、治療がよりスムーズに進みます。
トイレに座ることを嫌がる場合は無理に座らせず、リラックスできるタイミングを見つけましょう。
うまくできたときは、しっかりほめてあげてください。排便に対するポジティブなイメージを育てることが大切です。
遺糞症による下着の汚れは本人の意思ではコントロールできません。叱るとかえって症状が悪化することがあります。
症状が良くなったように見えても、腸の機能が十分に回復するまでには時間がかかります。かかりつけの医師と相談しながら治療を継続しましょう。
当院では、お子さまの年齢・体質・生活環境に応じて無理なく続けられるよう、一人ひとりに合った治療を進めてまいります。お気軽にご相談ください。
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